宅地建物取引士(宅建士)とは
突然ですが、統計で面白いものを見つけました。
それは『日本人の平均引っ越し回数』の統計で、2016年の第8回に於いてはその平均引っ越し回数は3.04回となっていました。そんなことまで統計を取るとは!と驚きましたが。
※出典:国立社会保障・人口問題研究所(第8回人口移動調査報告書)
この様に、多くの方が複数回経験するであろう引っ越し。
その都度、お世話になっているのが不動産屋さんではないでしょうか。
私も今までに幼少期の2回を含めて、7回引っ越しをして(多いな・・・)います。
その理由は仕事関係もありますが、結婚と離婚と再婚とそれに伴う家の購入と売却と・・・。
お話がそれてしまいましたが、この様に大変お世話になっている不動産屋さんになくてはならない資格。それが宅地建物取引士(宅建士)です。
この宅地建物取引士(宅建士)の資格は大変人気があり、令和元年度ではなんと22万人超(!)も受験しています。
そして、宅地建物取引士(以下、宅建士と呼びます)の資格は宅地建物取引業法(以下、宅建業法と呼びます)に基づくものであり、宅建業法の所轄官庁は国土交通省であることから、宅建士は国家資格となります。
宅建業法の主な目的は購入者の利益の保護並びに宅地・建物の流通の円滑化を図ることを目的としています。
私も宅建業法に守られて今までスムーズに転居できています。感謝感謝。
宅地建物取引士(宅建士)資格の優位性
宅地建物取引士はその名の通り、宅地または建物の取引を業として行う者を指します。宅建士は宅地を購入するときに購入者を守ってくれる重要な役割も担っています。賃貸の場合も同様です。
そして、宅建士業において重要事項の説明並びに重要事項説明書への記名・押印並びに契約書への記名・押印は宅建士しか行うことができない独占業務となっているため、法律に守られた資格といえます。
例えば、企業に就職した場合であれば、社宅等の不動産の管理等も行えます。小売業や飲食業の場合は、出店等の際にその知識が役に立つ事でしょう。また、金融機関とも相性の良い資格といえます。融資の際には家を担保として抵当権をつけることが多いため、担保評価をつける際にその知識が役立ちます。
また、仕事以外でも多くの方にとって一生の中で最も高い買い物になると思われる家を建てる際に於いても資金計画や売却そして相続の時にもその知識を活かすことができると思います。
宅地建物取引士(宅建士)資格試験の難易度と合格率
あなたは「宅建士の試験はものすごく難しい」と思われていないでしょうか。
これは、合格率だけを見ると概ね15%~17%前後と20%に到達していませんが、社会保険労務士(合格率はおおむね3%~7%)と比較すると、実は国家試験の中ではそこまで難易度が高いというわけではないのです。
しかも、先にも書きましたが、受験をされる人の数は22万人を超えていたりします。社労士の受験者が毎年4万人弱ということを考えると5倍以上の方が受験されています。
ここで少し考えたいのは、この22万人以上の受験者の中には稼げそうだから「なんとなく受けてみた」という方や「会社から言われて渋々受験した」という方が多くいらっしゃるというのが特徴のようです。なぜかというと、誰でも受験ができる(受験資格に規定がない)という敷居の低さと、受験料が比較的安価であるということに起因しているようです。
ですので、発表されている合格率を気にすることをここでやめてください。
「自分はやれることをやった!」と思えるところまでしっかり学習すれば、結果はきっと良いものとなります。
ですので、ポイントを押さえて、例えば、出題傾向など的を絞って学習が出来れば確実に合格に近づくことができます。
ここでおすすめしたいのは、通信教育やオンライン学習法です。
独学で進めるよりも確かに費用は掛かりますが、的確に出題傾向のアドバイスをしてもらえたり、モチベーションが下がりそうになった時や、わからないところがあったときに質問したり相談ができるところが通信教育やオンライン学習法の強みです。結果として短い学習時間で身についていることに気づくことができると思います。
私も現在、1件オンライン学習法で学んでいますが、やはり、教則本には書いていない、「実例」を出して解説してもらえると、状況をイメージすることができ、すーっと頭に入ります。オンライン学習法を提供されている会社様の中にはお試し無料で動画を見ることなどもできる所もあるようですので、ご自分のスタイルにあった学習法を早い段階で見出していただければば幸いです。
因みに宅地建物取引士資格試験は(従来通りであれば)年に1回、10月の第三日曜日に実施されますので、計画を立てて(逆算して)学習されることをおすすめいたします。
宅建士の試験に必要となる時間はおおむね300時間程度、一日3時間学習であれば3か月強、時間が取れない方は半年程度といわれているようです。そう考えると4月から学習を始めるというのがベストかと思います。
範囲が広いためこのように学習に要する時間が長くなっていますが、ご安心ください。実は、宅建士資格試験は出題傾向がだいたい決まっていて、70%~80%が過去問に似た問題が出題されるといわれています。
こういったことを考えると中々時間が取れない方などは、的を絞った学習ができるオンライン学習法が有利に働くように感じます。
合格ラインは合計点がおおよそ70%以上といわれていますので、過去問を何度も解き、確実に90%前後の正答率が取れるようになるまで学習できれば、自信が付き、実際の試験でも慌てることなく挑むことができますし、合格が見えてくると思います。
宅地建物取引士(宅建士)資格試験の出題科目と学習方法
宅建士の資格試験では下記の4項目から出題されます。問題数は合計50問で1問1点となっています。概ね35点以上が合格ラインと考えていればよいかと思います。
宅建業法:20問
これは宅建士試験の本丸ともいえる内容です。なぜならば、宅建士はこの法律の下、業務を行いますので、試験対策としてだけではなく、しっかりと覚え続けておかないといけない法律です。法律用語やその意味を知ることも大事になってきます。法律に関するものですので、当然暗記部分が多く出てきます。しっかりと学習時間を取るようにしてください。
民法(権利関係):14問
これも法律関係となりますので、暗記にかける時間を多くとる必要があります。特に、法律と無縁の方にとってはイメージし辛いことが多いかもしれません。過去問等を繰り返し、出題パターンを身に着けることも重要になってきそうです。
法令上の制限:8問
これは全体像をつかむことが重要です。用語の意味やルールの意味を把握していればよいと思います。例としては耳にされたこともあるかと思いますが『建ぺい率』などです。条件に関する『数値』はよく出題されるようですのでしっかりと身に着けるようにしてください。忘れてはならないポイントとしては、法改正が行われた内容が出題される確率が非常に高いということです。法改正が行われていれば、そこをしっかりと覚えるようにしてください。
税・その他:8問
不動産所得税や固定資産税についてなど。覚える項目はそこまで多くないようですが、統計データ等からも出題されるため、最新の統計データを頭に入れるようにしてください。
宅地建物取引士(宅建士)資格試験の試験内容
試験内容
・土地の形質、地積、地目および種別ならびに建物の形質、構造および種別に関すること
・土地および建物についての権利および権利の変動に関する法令に関すること
・土地および建物についての法令上の制限に関すること
・宅地および建物についての税に関する法令に関すること
・宅地および建物の需給に関する法令および実務に関すること
・宅地および建物の価格の評定に関すること
・宅地建物取引業法および同法の関係法令に関すること※宅地建物取引業法施行規則(第八条)より
※太字の項目については登録講習修了者は免除。
宅地建物取引士(宅建士)資格試験おすすめ学習方法
参考書をざっと何度も読み返し、全体像を知る(何度も読み返すことで内容がなんとなく自分になじんでくる感覚があると思います)→上記4項目をしっかり身に着けるイメージで学習する(苦手なところがわかってくると思いますので重点的に繰り返し学習します)→過去問を徹底的に解く(過去問で確実に90%以上得点できるまで繰り返し解くことで出題傾向・引っ掛け問題を知る)
過去問で90%前後コンスタントに得点できるようになっていれば「私は無敵なんじゃないかな」と錯覚するくらいに自信がついてきますので、そこまで持っていければ試験会場でそんなには緊張することは無いと思います。
何度も繰り返していれば90%前後の正答率を上げることができるようになるとは思いますが、100点満点を目指す必要はありません。およそ70%の正答率が合格目安とされています。50点中おおよそ35点(もっと安心したければ38点くらい)なので、自分自身を精神的に追い込まないようにすることも大事です。
宅地建物取引士(宅建士)資格試験の出題形式
四肢択一のマークシート方式で穴埋め問題や記述問題ではないです。
これは過去問を繰り返し解くことで出題方法に慣れておくことが重要です。
あなたは「過去問じいさんですか?」といわれるほど繰り返して言いますが、過去問を繰り返し解くことが合格のカギなのです。
宅地建物取引士(宅建士)資格試験合格率を上げる裏技
まずはじめに、これが使える方は「宅地建物取引業に従事している方」に限定されます。
期待させてごめんなさい(滝汗)。
しかしながら、現在、宅地建物取引業に従事している方であれば、これを行うことで合格率はおおむね7.7%ほど上がるというデータが出ていますので、該当される方には是非とも行っていただきたいものとなります。
その内容といたしましては、『宅建登録講習』というものを受講することです。
この『宅建登録講習』を受講すると・・・
なんと!
「登録講習修了者証明書」が交付され、試験問題中5問が免除(以後3年以内に実施される試験に於いて)されます。これが合格率が上がる理由です。
因みに免除されるのは
・土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
・宅地及び建物の需要に関する法令及び実務に関すること
この2項目から出題される5問です。
先にも書きましたが、宅地建物取引業に従事していることが条件となります。
受講申込時及び登録講習受講期間中に於いて有効な「宅建業従業者証明書」を所持していないといけません。
また、下記3点をすべて満たす必要があります。
・通信講習の受講
・10時間のスクーリングへの出席
・修了試験での7割以上の正解
そこそこ受講料がかかりますので、講習を行っている各事業者のHPにてご確認ください。
国土交通省HP 登録講習の登録講習機関一覧
宅建(宅地建物取引士)の試験概要
受験資格 | 誰でも受験可 |
資格種類 | 国家資格 |
実施団体 | 一般財団法人不動産適正取引推進機構 |
受付期間 | インターネット:7月1日~7月15日 郵送:7月1日~7月31日 |
試験日 | 年1回:従来通りであれば10月第3日曜日 |
合格発表 | 従来通りであれば12月の第1水曜日又は11月の最終水曜日 |
申込方法 | ・インターネット ・郵送 |
受験料 | 7,000円(非課税) |
試験会場 | 各都道府県 |
出題形式 | 四肢択一 50問 ※ただし、登録講習修了者は45問 |
試験時間 | 2時間 ※登録講習修了者:1時間50分 |
問い合わせ先
一般財団法人 不動産適正取引推進機構
TEL:03-3435-8111
https://www.retio.or.jp/
※新型コロナウイルス感染予防の為、一部業務を縮小中とのこと。
電話はつながりにくいことが予想されますのでご注意ください。
※受験上の注意等、熟読されることをおすすめします。
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