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一般用医薬品販売のスペシャリストに
登録販売者とは、薬剤師に代わって医薬品の販売を行うことのできる国家資格になります。
あれ?
では薬剤師の存在意義は?
となるかと思いますが、薬剤師は、薬事法で「調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどるもの」とされています。
法律の表現からして崇高なイメージがありますが、薬剤師は医師や歯科医師が発行する処方箋の薬を出したり、薬の販売などを行ったりすることができる資格です。
では登録販売者の業務と何が違うかというと、登録販売者は「薬の販売」を行う専門資格です。ですので、処方箋をもとにした調剤行為は行うことができません。
ここが大きな違いです。
しかしドラッグストアなどで販売されている薬の効果や副作用などをしっかりと理解し、症状にあう薬をお客様にご提供するということは非常に重要な業務になります。
さらに登録販売者は医薬品だけではなく化粧品やサプリなどを扱うことができますが、中には医薬品との相性が悪いものや併用すると副作用が出るものがあります。
このように、使い方によっては重篤な症状を引き起こす可能性があるものをお客様に販売するのですから登録販売者の業務が薬の販売だけであっても専門的な知識を必要とすることがわかります。
このため、資格制度ができました。
話はそれますが、医薬品関連の資格として、登録販売者、薬剤師とは別にMR登録制度というものがあります。
MRの仕事はお医者様に医薬品の適正使用のために情報提供をする大切な仕事です。
実は私は以前、歯科技工士を辞めた後、医薬品メーカーの医薬情報担当者をしていました(今では俗にMRと言われます)。
病院やクリニック等で見られた方もいらっしゃるかと思いますが、病院等でスーツを着て先生がお昼休みになるのを待って医薬品の説明や処方をお願いしたりする仕事です。
私がその仕事をしているころ(30年位前)にニューキノロン系抗菌剤とジクロフェナクナトリウム(解熱・鎮痛剤)の使用禁忌が発表になりました。つまり、上記抗菌剤とジクロフェナクナトリウム製剤を一緒に服用しないよう患者さんにお伝えください、そして、この組み合わせの処方はしないでくださいねということです。
こういった重要な事項を(厚労省からもアナウンスされますが)お医者様にお伝えすることも大事な仕事なのです。
私がその仕事を辞める年にMR研修が会社で始まったことを覚えています。MR登録制度は資格試験ではないため、この資格がなければ医薬品の営業ができないというわけではありませんが、いまではほとんどの医薬品メーカーがこの資格を取得することを求めていると思います。しかしながら、医薬品メーカーに就職を考えている方以外は必要性がないものと思います。
もう一つお話をさせていただきますと今やTVのCMでもおなじみの胃潰瘍などの症状に効果がある「ファモチジン製剤」につきまして、私はこれがOTC医薬品(一般用医薬品)になり、薬店で販売されるようになったことに驚きを隠せませんでした。
なぜなら、この薬は比較的副作用が少なく評判がとても良い医薬品なのですが、服用している時よりも服用を『やめる時』に注意が必要なのです。
いきなり服用をやめてしまうと、反発的に胃酸の分泌が増えてしまい、潰瘍が再発したり悪化することもあるんです。服用をやめる時は、徐々に減量しなければいけないのです。
病院で処方された場合は医師もしくは薬剤師さんから説明があるものと思いますが、ドラッグストアでこの情報がいきわたるのかと不安になりました(実際は薬剤師さんからしっかりと説明がありますのでご安心を)。
この様な事例のためにも医薬品の販売には専門性が要求されることがわかります。
因みにこのファモチジン製剤は、下表の分類では第一類医薬品に分類されますので、薬剤師の資格がなければ販売できません(悲)。
登録販売者の発展性
さてさて、お話が(かなり)それてしまいましたが、登録販売者が取り扱える医薬品について考えてみます。
まずは下表をご覧ください。
薬の種類 | 概 要 | 扱える資格 | 相談された 際の応答 |
|
医療用医薬品 | 医師や歯科医師の診断・処方に基づいた使用が義務付けられているもの | 医師 薬剤師 |
義務 | |
要指導医薬品 | リスクが高い劇薬、医療用から一般用になって間がないものなど薬剤師が対面で情報提供や指導などをすることが義務付けられているためインターネット販売ができないもの | 薬剤師 | 義務 | |
一般用医薬品 | 第一類医薬品 | 一般用医薬品の中で飲み合わせや副作用などのリスクが特に高い成分を含むもの | 薬剤師 | 義務 |
第二類医薬品 | 一般用医薬品の中で飲み合わせや副作用などのリスクが比較的高い成分を含むもの | 薬剤師 登録販売者 |
義務 | |
第三類医薬品 | 一般用医薬品の中で飲み合わせや副作用などのリスクが比較的低い成分を含むもの | 薬剤師 登録販売者 |
義務 |
上記の様に、登録販売者が扱える医薬品は第二類医薬品と第三類医薬品となっていることがわかります。
一見、範囲が狭いように感じるかもしれませんが、ドラッグストアで販売されている医薬品の90%程度がこの二つの類と言われていますので、膨大な量ということがわかります。登録販売者という資格が医薬品業界において非常に需要の高い資格ということがわかると思います。
登録販売者試験の難易度
登録販売者の難易度は医療系の公的資格の中では比較的低めといわれています。
登録販売者の試験は厚生労働省が設定した出題範囲の中で、各都道府県で試験を作成・運営していることから、全国共通ではないため年度だけでなく地域によって合格率が異なります。
このため、受験を予定されている地区の合格率をご確認いただかないといけませんが、おおむね30%~40%の合格率のようです。
また、出題傾向が大体わかっているため、要点を押さえた学習をしておけば、薬学の専門知識がない一般の人でも充分合格を狙えます。
登録販売者試験の合格基準
登録販売者試験の出題範囲は、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」、「人体の働きと医薬品」、「主な医薬品とその作用」、「薬事関連法規・制度」、「医薬品の適正使用・安全対策」の5項目となっています。
合格基準は、上記5つの各試験項目で最低正答率が40%以上であり、且つ、全体で正答率が70%以上でないといけません。
このため、苦手科目が無いように学習する必要があります。
登録販売者試験対策方法
過去問を解いたりして出題傾向がわかってくると、よく登場する医薬品や成分、薬事法の分野などが見えてくるかと思います。
出題形式が4択や組み合わせ式になっているので、そこまで深く覚えなくとも答えは導き出せると思います。
120問と問題数が多いのですが、試験時間は240分(「主な医薬品とその作用」のみ40問80分、それ以外は20問40分)ですので、問題を解くスピードも大事になりそうです。
出題傾向を見出して繰り返し解くことが合格への近道だと思います。
ただし、法改正によって手引きの内容が改訂される場合がありますので、過去問との違いを確認しておく必要があります。
登録販売者として従事するための注意事項
登録販売者試験に合格、就職する際には従事する薬店がある都道府県に『販売従事登録』という申請を行わないといけません。各自治体のHPに記載されていますので、ご確認をお願いします(このページの下部に一覧表を載せておきますので、必ず従事する薬店がある都道府県のHPにて詳細をご確認ください)。
ここでさらに注意が必要です。
実は、販売従事登録申請を行えばすぐに『正規の登録販売者』として医薬品の販売ができるわけではありません。
合格以前の直近5年間に2年以上の実務経験(月間80時間以上従事)があれば、すぐに登録販売者として就業することができますが、合格以前に実務経験はあるものの、退職して空白期間があるために2年に満たない場合や、実務経験があるもののまだ2年に達していないという場合は、合格後に2年以上実務経験のある登録販売者、もしくは薬剤師が管理・指導の下で『研修中の登録販売者』として勤務し、その期間と以前の実務経験を合算して直近5年間の合計実務経験が2年以上という要件を満たせば、晴れて『正規の登録販売者』として就業することができます。
販売従事登録に必要な書類
(1)登録販売者試験の合格証(原本)。尚、過去に薬種商販売業の許可を受けていた者は、許可を受けていた都道府県に証明依頼を行い、その証明書を提出。
(2)戸籍抄本、戸籍謄本又は本籍の記載のある住民票(ただし、登録販売者試験の申請時から氏名又は本籍に変更があった者については、戸籍抄本又は戸籍謄本に限る。発行して6ヶ月以内のもの)
(3)診断書(1ヶ月以内のもの)
(4)申請者が薬局開設者又は医薬品販売者でないときは、雇用契約書の写し又は使用関係を証する書
※詳細につきましては、下に各自治体のHPへのリンクを置いていますので、試験を実施している自治体のHPでしっかりとご確認ください。
登録販売者資格試験の概要
登録販売者の試験は各自治体が主催しますので、詳細につきましては、各自治体のHP等にてご確認いただけましたら幸いです(ちょっと特殊ですね)。
また、登録販売者試験に合格し、就職する際は、これも各自治体へ『販売従事登録』を行わなければなりません。これにつきましても、下記各自治体HPに記載されていますのでご熟読ください。
※受験上の注意等、熟読されることをおすすめします。
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