国家資格

中小企業診断士

中小企業診断士 国家資格

中小企業診断士とは

あなたは『経営コンサルタント』という言葉を聞いたことがありますか?

なんだか、ひげを生やしたスーツ姿のダンディーな感じではあるが、ちょっと怪しい感じの男性というイメージがあるのは私だけの偏見でしょうが、本来であれば、経営コンサルタントとは会社を良い方向へ導いてくれる救世主であるべき存在だと思います。

なぜ、私にそんな偏見があるかというと、以前、自称経営コンサルタントさんになんだか難しいネットワークビジネスをすすめられて、痛い目にあったことがあるからなのです。以前より知っている人であることで安心していたというのがあると思いますが、高い授業料を払い勉強をしました。

この様に『自称』経営コンサルタントというのは信頼する必要はありません(キッパリ)。

なぜならば、経営コンサルタントと胸を張って名乗ってよい国家資格があるからです。

それが『中小企業診断士』です。

確かに、「就職や独立で有利になる」、「年収が高い(500万円以上の方が多い)」や、何よりその資格自体の「ステイタス」を求めて受験される方もいることでしょう。

しかしながら、本質としては先ほども書きましたが、中小企業診断士は中小企業の経営に関して的確なアドバイスを行い、経営改善に導いてくれる救世主である必要があります。

信頼できる中小企業診断士に出会うことがカギ

このため、知識を備えていることは当然として、ミスを犯さないノウハウも必要となります。なぜかというと、例えば経営状況がひっ迫している会社に失敗をする余裕は1ミリもないからです。

そう考えると中小企業側からすれば、本当に信頼ができる中小企業診断士に出会えるか否かが運命の分かれ目となります。中小企業診断士の資格を持っている方が全員信頼のできる剛腕の方であれば良いのですが、残念ながら資格を持っている方でも、その目的が資格を盾に「楽をして稼ぐ」だけの方が少なからずいらっしゃるので注意が必要なのです。

なんだか今回は厳しいことを言うなこのじい様は。と思われるかもしれませんが、中小企業にとっては命(家族を含めて)に関わることを相談しないといけないわけで、その重要な業務を軽い気持ちで行ってほしくはないのです。

ですので、『先生と呼ばれるステイタス』が欲しいからという理由だけで中小企業診断士を目指すという方にはなってほしくはありません。

そして、中小企業診断士に求められるのは第一に『聴くこと』です。

担当した会社が現状として、どこでどのように苦しんでいるのかをまず把握しなければなりません。そのうえで、広い知識の中から使える方策を検討し、実効性があるものか深く考えなければなりません。そのためにはまず現状をどんなに小さなことでも逃すことが無いように『聴く』ことが大切です。

聞くことができる中小企業診断士になりましょう

当然、『聴く』という意味の中にあるのは、中小企業診断士に於いては相手が悩んでいることを『引き出す』コミュニケーション能力があるということです。

この『聴く』ことが苦手で、持っているツールだけをポンと渡しておけばいいんだ。という考えの方は後々自分が苦しくつらい思いをしますので、中小企業診断士を目指すべきではないでしょう。

『聞く』と『聴く』の違い
Q.「話をきく」や「音楽をきく」などと言う場合の「きく」の書き方に「聞く」と「聴く」がありますが、この場合の表記の使い分けはどのようにすればよいのでしょうか。
A.ただ単に「きく」場合は一般に「聞く」を使い、注意深く(身を入れて)、あるいは進んで耳を傾ける場合には「聴く」を使います。
出典:NHK放送文化研究所

中小企業診断士資格試験の難易度は

さて、この年収が高いうえに就職や独立時にも非常に有利に働き、さらにステイタスまであるこの中小企業診断士の資格試験の難易度が大変気になりましたので調べて見ました。

まず、中小企業診断士の資格試験についての内容を見てみましょう。

中小企業診断士1次試験

・1次試験(マークシート・選択式試験)
7科目(例年通りであれば8月に実施)
1日目
1.経済学・経済政策(60分)
2.財務・会計(60分)
3.企業経営理論(90分)
4.運営管理(90分)
2日目
5.経営法務(60分)
6.経営情報システム(60分)
7.中小企業経営・政策(90分)

1次試験の合格基準

・満点の 40% 未満の科目が一つもなく、総点数の 60% 以上あること。これを基準に、試験委員会が決定
・科目合格基準としては、満点の60%であること。これをを基準として、試験委員会が決定

1次試験の合格率

平成28年度から令和2年度の平均を見てみると27.12%でした。
1次試験だけでもそこそこ難しいことがわかります。
※合格率は中小企業診断協会発表の試験統計資料を基に計算しました(以下、同じ)。

2次試験(筆記)

4科目(例年通りであれば10月に実施)
1.組織・人事の事例(80分)
2.マーケティング・流通の事例(80分)
3.生産・技術の事例(80分)
4.財務・会計の事例(80分)

2次試験の合格基準

・満点の 40% 未満の科目が一つもなく、総点数の 60% 以上あること。
・口述試験の評点が60%以上あること。

2次試験の合格率

平成28年度から令和2年度の平均を見てみると18.82%でした。
1次試験でふるいにかけられた後にこの合格率ということはかなり難しいことがわかります。

口述試験(面談)

面談(例年通りであれば12月に実施)

口述試験の案内は2次試験の合格者にのみ届きます。
1人10分程度で、数名の面接官を相手に受験生は1人で受け答えをしますが、落とすための試験ではなく筆記試験の内容から質問が出るものですので、気負う必要はありません。顧客との「面談の練習」くらいの気持ちで臨まれると丁度良いと思います。

なぜならば、口述試験は通年、落第する方はいなく100%合格となるようですので。

2次試験の結果は、合格者にのみ口述試験の案内が届きますが、不合格者には、A~Dに区分した科目得点と合計得点の判定結果が通知されます。

A判定:60%以上
B判定:50%以上60%未満
C判定:40%以上50%未満
D判定:40%未満

このことから合格にはA判定が必要であり、D判定が一つでもあれば不合格ということになります。

実務補習・実務従事(実習)

(例年通りであれば2月、8月から15日を選択)
口述試験に合格すると、中小企業診断士に登録するために必要な研修を受けなければなりません。もしくは、実務に15日以上従事しなければなりません。

結局中小企業診断士資格試験のトータル合格率は?

1次試験、2次試験、口述試験をすべてクリアし、見事合格される方の率は、平成28年度から令和2年度の平均を見てみると、なんと! 5.04%でした。

かなり狭き門であることがわかります。
このことから、ステイタス性があることがわかります。

中小企業診断士資格試験には科目免除規定があります。

これは1次試験に於いて、科目獲得点数が60%以上あったものは翌年度と翌々年度の試験時に免除申請ができる事になっています。

つまり、最初の受験で4科目取れていれば、残りの3科目を受ければよいのですが、合格基準は当然、全得点の60%以上であり、1科目でも40%以下の科目があってはいけません。

各科目ごとにその年によっては超絶難易度が高いなどということがあるようですので、すでに合格した科目の中に得意とする科目があれば、免除申請せずに受験し、総合獲得点数を稼ぐ作戦も考えられます。

この辺りはご自分のスタイルに合わせて検討していただければと思います。

中小企業診断士資格試験合格に向けて必要となる学習時間の目安は

中小企業診断士の資格試験は士業と言われる他の国家資格と比べてもその出題範囲が広いため、当然勉強しないといけない内容が膨大なものになります。

これは個人差があるので、一概には言えませんが、目安として概ね1,000時間程度と言われています。
計算してみると1年間で合格を狙う場合、1年間は約50週間なので1週間当たり20時間学習に充てなければなりません。

この様に内容が濃く、試験範囲が広い資格試験に於いてはオンライン学習法をおすすめしたいです。

とにかく沢山ある教本をもとにがむしゃらに自分流で学習するよりも、実績のある講師陣が自分の失敗経験などから合格への近道としてまとめ上げた教材をもとに学習を進めるのであれば、効率としてどちらに軍配が上がるかということになると思います。

また、オンライン学習法の中にはスマホで学習することもできるものもあるようですので、通勤時間が長く取れる方などはその時間さえも無駄にせず学習ができます。

中小企業診断士の資格一緒に取得すると効果的な資格は

中小企業診断士とダブルタイトルをお勧めする士業

これは中小企業診断士の仕事内容(役割)に大きく起因しますが、税理士公認会計士などではどうしても超えられない壁があるので、中小企業診断士の資格があればその壁を超えることが出来ます。

私も以前、税理士さんにお願いをしていましたが、あくまでも税務申告に関する相談しかできず、経営改善のためのアイデアを求めても、その答えが出てくることはありませんでした。

しかしながら、中小企業診断士であれば、その壁を越えて、相談を受け、アドバイスを行うことができます。

この様に、税理士や公認会計士の仕事内容も把握しながらアドバイスを行うことができる中小企業診断士さんは企業からするととても頼もしい存在となります。このため、税理士並びに公認会計士の資格試験にもぜひともトライしていただきたいです。

また、中小企業と言ってもその形態はさまざまで、従業員を抱えていらっしゃる企業も数多くあります。
つまり、『人』を大事にしなければなりません。
そう考えるとぜひとも、社会保険労務士資格を持っていてほしいのです。

この様に

・税理士
・公認会計士
・社会保険労務士

とあわせて中小企業診断士の資格を持たれている方は中小企業から見ると神様に思えるかもしれません。

実は、中小企業診断士の資格は「中小企業支援法」を根拠法としますが、業務独占資格(資格がなければ業務はできない)とする規定がないという性格上、この難しい資格試験に通過しても、それだけでは独立開業は難しいといわれています。
このため、税務に関するスペシャリストである税理士資格を取得し、税務担当するという契約から入る等というスタンスがおすすめとなります。

この様に、上記士業のうちどれか一つでも持つことで独立開業が有利に進められることになりますのでおすすめです。

中小企業診断士の資格試験概要

1次試験
受験資格 年齢・性別・学歴等に制限はなし
試験実施日 例年通りであれば8月上旬に実施
試験科目 配点(各100点)
7科目 1日目 1.経済学・経済政策(60分)
2.財務・会計(60分)
3.企業経営理論(90分)
4.運営管理(90分)
2日目 5.経営法務(60分)
6.経営情報システム(60分)
7.中小企業経営・政策(90分)
実施地区 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇
※公式HPにてご確認ください
合格発表 例年通りであれば9月上旬
合格基準 1.総点数による合格基準 免除科目を除く全科目を受験し、40%未満の科目が無く、総得点の60%以上あることを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率
2.科目ごとによる合格基準 満点の60%を基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率
合格の有効期間 1次試験合格(全科目合格)の有効期間は2年間(合格年度と翌年度まで2次試験を受験可)
1次試験合格までの科目合格の有効期間は3年間(翌年度と翌々年度まで合格した科目を免除申請可)
3年以内に7科目のすべてに合格することで1次試験合格
※免除科目を除く全科目を受験していない場合、上記1の総点数による合格基準は適用されない。
受験料 13,000円(税込)
2次試験
受験資格 1次試験合格者
※1次試験合格(全科目合格)年度と翌年度に限り有効
※2000年度以前の1次試験合格者は1度限り有効
試験実施日 例年通りであれば10月中旬〜下旬
試験科目 配点(各100点)
4科目
時間(各80分)
1.組織・人事の事例
2.マーケティング・流通の事例
3.生産・技術の事例
4.財務・会計の事例
実施地区 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
※公式HPにてご確認ください
合格基準 40%未満の科目がなく合計得点が満点の60%以上であること
筆記試験結果発表 例年通りであれば12月上旬
口述試験
受験資格 当該年度の2次筆記試験合格者
※口述試験受験資格は当該年度のみ有効
(翌年に持ち越し不可)
試験実施日 例年通りであれば12月中旬
実施時間 約10分間
実施地区 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
※公式HPにてご確認ください
合格発表 例年通りであれば12月下旬〜1月上旬
合格基準 評定が60%以上であること
合格の有効期間 2次試験合格後、3年以内に実務従事・実務補習を受けること
受験料 17,200円(税込)
実務補習
受験資格 第2次試験合格者で3年を経過していない方
実施地区 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
※公式HPにてご確認ください
実施期間 登録実務補習機関による実務補習は1コース5日間もしくは15日間
※例年通りであれば、全国各地で2月・3月(5日間・15日間)、7~9月(5日間のみ)に土・日・祝日中心に実施
受講手数料 5日間コース:50,000円(税込)
15日間コース:148,600円(税込)
※上記はテキストがない方
※変更があるかもしれませんので公式HPにて要確認

※試験要項は例年4月上旬〜5月上旬に発表

お問い合わせ

一般社団法人 中小企業診断協会
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-11 銀松ビル
TEL:03-3563-0851(代表)
http://www.j-smeca.jp/
※受験上の注意等、熟読されることをおすすめします。

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