国家資格

弁理士

弁理士 国家資格

弁理士の業務

弁理士は、特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産に関し、特許庁への手続の代理、訴訟の代理・補佐、契約交渉等を行う、知的財産に関するスペシャリストです。

誠にお恥ずかしいお話ですが、若いころは俗にいう『何でも屋』さんのような便利屋さんの事かと思っていました。

だって『べんりし』ですもん・・・。

崇高な国家資格に対して失礼極まりない思い違いでした(反省)。

弁理士とは

因みに弁理士の『弁』はもともとは『辨』と書き「わきまえる・分別する・明らかにする」などの意味があるとされてます。また弁理士の『理』は『因果関係がある』などの意味があるとされています。この二文字からわかるように「因果関係を明らかにする」という意味になるといわれています。

「因果関係を明らかにする」とはどういうことか考えてみると、その「発明の原理を十分に理由付ける役割を果たす」と説明することができます。このためには発明を法的に再編成して、請求すべき発明の範囲を設定しないといけません。そう考えると法律をしっかりと身に着けておくことは当然ながら、どの方向(範囲)から攻めていくかなどのセンスも求められる職業といえるのではないでしょうか。

改めて便利屋さんと思っていた自分が恥ずかしい。

日本における弁理士(辨理士、辧理士、べんりし)は、弁理士法で規定された知的財産権に関する業務を行うための国家資格者であり、弁護士・司法書士・税理士・行政書士・社会保険労務士・土地家屋調査士・海事代理士と共に職務上請求権が認められている8士業の一つである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

このようにとても崇高で大切な、無くてはならない職業なのです。

しかしながら、受験資格は無いため、誰でも受験することができます。
因みに、弁理士試験は年に1回のみ実施されます。

弁理士資格試験の難易度は

誰でも受験できるということで、頑張り次第でこの崇高な資格を狙えるのはありがたいことですが・・・合格率は、特許庁のHPによると令和元年度で、8.1%(合格者数284人/受験者数3,488人)となっており、かなり資格取得が難しいことがわかります。ちなみにその前の年は7.2%ですので、概ねこれくらいの合格率と考えてよいと思います。

弁理士資格試験の内容は

弁理士資格試験は下記3つの試験に合格する必要があります。

1)短答式試験(一次試験)
2)論文式試験(二次試験)
3)口述試験(三次試験)

1)短答式試験

短答式試験は、受験生が弁理士を目指すものとして「基礎的知識」を有しているかどうかを判定するための試験となっています。
短答式試験の試験科目は7科目あり、その試験範囲が広いことから、短答式試験に合格するためには膨大な知識を習得する必要があります。したがって、効率よく勉強しなければ、広範な試験範囲を網羅することができません。

でもご安心を。

この短答式試験には一定の出題傾向があり、法律の全条文から出題されるのではなく、一定の条文から出題されるため、この『出題傾向』を早めに掴み、出題傾向が高いものと低いものでメリハリをつけて学習することで十分合格を狙えます。

しかしながら、この短答式試験は平成24年に合格基準が65%以上の正答率に引き上げられたため、難しくなり、大幅に合格率が減少しています。
因みにこの短答式試験の合格率は平成29年度では8.9%と恐ろしく低いものでしたが、令和元年度には18%位まで改善してきてはいます。

ここでおすすめしたいのはオンライン学習です。

オンライン学習を提供している会社の多くは、受講者に合格してもらうためにこうした『出題傾向』などの重要な部分はポイントを押さえてしっかりと教えてくれますので効率よく学習することができます。

2)論文式試験

論文式試験は「基礎的に必要とされる法条の解釈及び理解力、判断力、論理的展開力、文章表現力等の総合的思考力」を有しているかを問われる試験で、基礎的な知識をベースとして深く考えることができるかを問われる試験です。
また、自身の考えを説得できるような文章として表現する能力も求められます。

このように、論文式試験は、短答式試験と異なる能力が必要とされますが、論文式試験は、短答式試験のように受験生に広範な知識を求めるものでは無く、必要とされる知識量は短答式試験ほど多くありません。

でもご安心ください。

論文式試験の問題の殆どは例年典型的なパターンの問題の中から出題されているため、この『典型的なパターン』をできるだけ早く掴むことが、短期合格に直結します。

しかしながら、こういったパターンを自分で見つけ出すには過去問を繰り返し解くなど、大変な時間を要すると思います。そこでおすすめしたいのは1)の短答式試験同様、通信制のオンライン学習法です。

結果として「出題傾向を探し出す時間」を省略して「試験問題に慣れる時間」として使うことができるようになりますのでおすすめです。この論文式試験の合格率は25%前後と少々難しくなっていますので、オンライン学習法で時間を有効に使うべきかと思います。

3)口述試験

口述試験は、「口述による説明力」を判定するための試験であり、試験官からの質問に対して、間髪を容れずに、即答しなければならない点が難しい試験です。しかし、口述試験の内容については、短答式試験並びに論文式試験を通して学習した知識があれば十分回答ができるものとなっていて、この口述試験の合格率はおおむね95%程度となっています。
緊張しないように、学習内容を総復習した上で、口頭で説明する方式に慣れることさえできていれば大丈夫そうです。

弁理士試験の出題傾向

弁理士資格試験の出題傾向

短答式筆記試験 (1次試験):正確な知識を問われる試験
※全7科目から出題、マークシート方式、出題数は60問、試験時間(3.5時間)
■特許法・実用新案法(20問)
法律内容
特許法第1条にあるように、発明の保護及び利用を図り、発明を奨励することで産業の発達に寄与することを目的とする法律
出題傾向
補正、優先権、審判、権利行使、実施権、国際出願、最高裁判所判例から出題。
■意匠法(10問)
法律内容
物品の美しい外観、使い心地の良い外観を探求し、美感の面から創作を保護し、ひいては産業の発達に寄与することを目的とする法律。
出題傾向
部分意匠、組物の意匠、関連意匠、秘密意匠等、特殊な意匠に関する問題から出題。
■商標法(10問)
法律内容
商標に対し、それを使用をする者に独占的な使用権(商標権)ことにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、産業の発達に寄与し、需要者の利益を保護しようという法律。
出題傾向
地域団体商標及び防護標章等特殊な商標制度、不使用取消審判や不正使用取消審判等商標法特有の審判制度について多く出題される。
■条約(10問)
法律内容
パリ条約、特許協力条約、TRIPS協定、マドリッド協定の議定書、ハーグ協定のジュネーブ改正協定等、産業財産権に関連する国際条約について出題。
出題傾向
パリ条約及び特許協力条約を中心として出題される。
近年では特許協力条約についての規則から多く出題されている。
■著作権法・不正競争防止法(10問)
法律内容
著作権法は著作物の創作者である著作者の利益を保護するものであり、不正競争防止法は、模倣品や営業上のノウハウ等の盗用を不正競争行為として規制する法律。
出題傾向
著作権法:著作権等に含まれる権利の種類及び著作権の制限等について出題
不正競争防止法:営業秘密に係る不正行為等について出題
論文式筆記試験 (2次試験):知識の応用力を問われる試験
必須科目 全4科目(特許法・実用新案法、意匠法、商標法)、試験時間(1.5時間~2時間)
選択科目 理工Ⅰ~Ⅴ・法律から選択・特許法・実用新案法・・・2時間
・意匠法・・・1.5時間
・商標法・・・1.5時間
・選択科目・・・1.5時間
口述試験 (3次試験):口頭での応答能力を問われる試験
全4科目(特許法・実用新案法、意匠法、商標法)それぞれ10分程度、面接形式で実施

弁理士の年収は

この難しい資格を取得した後、どれくらいの年収が見込めるかというと(地域差が結構ありますが)、概ね700万円位(出典:平均年収.jp)のようです。
日本の一般的な職業の平均年収は国税庁が行った実態調査に基づくと2018年度では約441万円くらいといわれていますので、それに比べると高くなっていることがわかります。

弁理士の具体的な仕事は

さて次に、最も大事な弁理士の仕事は具体的にどのようなものになっているか考えてみます。

弁理士の主な仕事は法人もしくは個人事業主の依頼により、特許庁に新規発明品の知的財産権を申請すること、そして、特許権の侵害などの紛争を解決することなどになります。
知的財産に関する法的な番人という感じでしょうか。

この他にも企業が保有している知的財産を保護しつつ、それを使っていかに利益を創出していくかを提案するコンサルティング的な仕事もあり、一般的には「知財コンサル」といわれている重要な仕事があります。

大きく考えるとこの3つが弁理士の重要な仕事内容となります。

弁理士の将来性は

10~20年後に無くなっていく職業というものが2015年に米国のオックスフォード大学と野村證券による確率計算から導き出されていましたが、無くならない職業というものも併せて導き出されていて、その中にはクリエイティブな職業というものが入っていました。

クリエイティブな職業というと音楽家、画家、小説家といった職業を思い浮かべますが、機械工学や化学といった分野でももちろん、『新しいものを生み出す』ことについては違いはありません。

つまり特許申請をするような発明品は無くならないので、こういった知的財産の法の番人ともいえる弁理士の仕事もなくならないものと考えることができます。

まさに法に守られた国家資格ですね。
資格取得にはそれなりの努力が必要ですが、将来性もあり、高い年収も期待できる資格といえます。

一緒に勉強することをおすすめしたい資格

ここで前にご紹介させていただいたのですが、一緒に受講・取得するのにお勧めな資格があります。

それは・・・

知的財産管理技能検定®2級・3級で、弁理士と同様に知的財産に関する国家資格です。

こちらも弁理士と同様に国家資格となっていて、知的財産関連の基礎知識を身につくけるには最適の資格なのです。弁理士学習前や学習中に学習・資格取得することで、弁理士資格取得に大きな力になること間違い無しの資格です。

知的財産管理技能検定®3級
近年では知的財産に関する基礎知識は様々な業種や職種で求められる傾向にあるため知的財産管理技能検定3級を持っていると知的財産に直接携わる仕事以外でも転職・就職時に履歴書に書くことで知的財産の仕事に知識や関心があることをわかりやすく示すことができます。

弁理士資格試験概要

受験資格 受験資格は無いため、誰でも受験することができます。
受験料 12,000円(特許印紙にて納付)
スケジュール 試験は年に1度、短答・論文・口述の3段階方式で実施
1月 試験要項発表
3月 受験願書受付
5月 短答式試験
6月 論文式試験(必須科目)
7月 論文式試験(選択科目)
10月 口述試験
11月 最終合格発表
※正確な実施スケジュールは公式サイトをご参照ください。
合格率・合格基準点 1)短答式試験
合格率はおおむね10~20%程度
合格基準点は39問かつ各科目の合格基準点(40%)以上を満たすこと2)論文式試験
合格率はおおむね25%程度
必須科目の合格基準は、標準偏差による調整後の各科目の得点の平均が54点。ただし、47点未満の科目がないこと。選択科目の合格基準は、60%以上であること

3)口述試験
合格率はおおむね95%程度
採点基準をA、B、Cとし、C評価が2科目以上ないこと

問合わせ先

特許庁 総務部秘書課弁理士室
電話:03-3581-1101 内線2020
FAX:03-3592-5222
https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/index.html
※受験上の注意等、熟読されることをおすすめします。

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